茶はどこから来たのか、茶は最初薬だった、いろいろある茶の種類、全国の茶どころなど・・

茶・ダイジェスト  

社団法人 日本茶業中央会編より


茶の産地

茶という飲み物は世界中に存在し、その国その国で人々に愛され飲まれています。いったい茶はどのようにして世界中に広がっていったのでしょうか。また茶にはどのような種類があるのでしょうか。


●日本の茶と世界の茶

日本へは茶は中国から伝わりましたが、世界の他の国々にも茶は中国から伝わっていきました。陸づたいでモンゴルやチベットへ、また海づたいでヨーロッパに運ばれたのです。しかし、茶がヨーロッパに伝わるのは大航海時代に入る16世紀になってからです。この頃、中国との交易を独占していたのはボルトガルです。ポルトガルは香港を植民地にし、マカオを基地として茶を本国に送りました。17世紀に入ると、ポルトガルに代わってアジア交易の覇権を握ったオランダピよって、中国の茶がイギリスにも輸出されるようになりました。こうして茶は世界中に広まっていったのです。しかし、世界の隅々にまで普及したのは今世紀に入ってからです。生産国も19世紀初頭には中国だけだったのが、同世紀の半ばにはインドとセイロンに拡がり、さらに現在ではアフリカや南米でも茶は生産されています。1992年の統計によると、世界の茶の生産量は247万トンでその内緑茶は20%強の57万トン、ウーロン茶は約10万トン、紅茶は約180万トンとなっています。



●いろいろある茶の種類

茶には大別して緑茶、ウーロン茶、紅茶の3種類がありますが、その違いは加工方法にあります。
つまり加工の仕方が違うだけで元は同じ茶の葉(つばき科の植物)からできるのです。したがって、茶の木から作られない茶は茶ではありません。
茶は製法により、不発酵茶、半発酵茶、発酵茶となります。不発酵茶は茶の葉の酸化酵索の働きを止めて加工したもので、その代表が緑茶です。
日本の茶もここに入ります。酵素をある程度活用して加工するのが半発酵茶で、代表はウーロン茶。さらに酸化酵素を最大限に活用して加工するのが発酵茶で、その代表が紅茶です。また緑茶もいろいろな種類に分かれます。
煎茶、玉露かぶせ茶、番茶、玉緑茶、碓茶、抹茶、焙じ茶、玄米茶などです。

・[煎茶] 日本で生産される80%を占めます。新葉を蒸して操み 乾燥させたもので、うま味と杏りがあり、産地によっていろいろな特色があります。

・[深むし茶] 製法は煎茶と同じですが、茶の芽葉を煎茶の製造より 2〜3倍多い蒸気量で蒸してつくった茶です。

・[かぶせ茶] 藁やカンレイシャなどで茶園を覆って育てた、玉露に 次ぐ高級な茶です。

・[玉露] 新芽が伸び出した頃よしず棚などで茶園を覆い、直射 日光が当たらないようにして栽培した葉でつくった高級茶です。

・[硯茶] 玉露と同様、新芽の頃に覆いをして栽培し蒸したもの を揉まないでつくります。

・[抹茶] 砥茶を茶臼で挽いて粉にしたものです。

・[玉緑茶] 鉄製の釜で茶葉を妙って仕上げた茶です。

・[番茶] 新葉が伸びて硬くなった新芽や茎などを原科にしてつくったものです。

・[培じ茶] 番茶や茎茶を強火で妙ってつくった、香ばしさが特徴の茶です。

・[玄米茶] 番茶に妙った玄米を混ぜた茶で香ばしい香りがします。


●全国の茶どころ

茶は新潟県の村上市と茨城県の太子町を北限の栽培地として全国でつくられています。代表的な茶とその特徴を挙げてみましょう。

・新潟県(村上茶) 茶の経済的栽培の北限として知られている。

・茨城県(奥久慈茶・猿島茶) 奥久慈茶は山間地栽培持有の色沢の良さと香気が、猿島茶はほどよい滋味と水色の濃いのが特徴。

・埼玉県(狭山茶) 狭山地方が産地で火香という特有の香気があって、渋味の中にも甘味の強いことで全国にその名を知られる。

・東京都(狭山茶) 東京と埼玉の県境でつくられ埼玉県の狭山茶と、同じく狭山茶として売られる。

・神奈川県(足柄茶) 足柄地方は良質茶の生産朱件に適した土地であるため、香りと風床が良い。

・山梨県(南部茶) 南アルプス山麓で栽培され、柔らかい舌ざわりと香り高い風味が持徴。

・静岡県(静岡茶) 太田川流城でそれぞれ特色のある生産が行われている。深むし茶の主産地でもある。

・岐阜県(美濃茶) 香気と甘味の強さには定評がある。西のいび茶、東の白川茶が有名。

・愛知県(西足茶・新城茶) 西尾市・吉良町はてん茶の生産高全国一を誇る。

・三重(伊勢茶) 煎茶を主体とし、北勢はかぶせ茶、南勢は深むし茶を主に生産。

・滋賀県(近江茶) 高級煎茶が中心。中でも信楽町の朝宮茶は香気の高い茶として有名。

・京都府(宇治茶) 明恵上人が宇治の地に茶の種子を播いたことに始まる歴史的産地。玉露、てん茶の生産量が高いことで知られる。

・兵庫県(丹波茶・母子茶) 栄西以来の古い歴史をもつ。

・奈良県(大和茶) 産地は大和高原一帯の山間地で良質茶の生産に適している。

・和歌山県(紀州茶) 県南部の温瑛な土地で良質茶を生産。

・島根県(島根茶) 中国四国地域では高知県に次ぐ生産高。

・岡山県(岡山茶) 江戸時代産業振興のために栽培したのが最初。美作番茶も有名。

・山口県(山口茶) 明治時代、防長茶として全国に名を広める。

・徳島県(阿波茶) 冷涼な山間急傾斜地で栽培され、味と香りが持徴。天日乾燥で仕上げた相生番茶がある。

・香川県(香川茶) 高松藩主が茶会で使用するための茶園を造ったのが起こりとされる。県南西部の山間丘陵地が産地

・高知県(土佐茶) 早期出荷と品質の良さに定評がある。仁淀川流域が産地。

・愛媛県(愛媛茶) ヤマチャの自生地で知られる中国山脈の山村、新宮村等が産地。

・福岡県(八女茶) 八女を中心とする産地。玉露の生産高全国一。

・大分県(大分茶) 杵築市、日田市、耶馬渓町など地城を生かしてつくられる。

・佐賀県(嬉野茶) 栄西禅師が背振山麓に茶の種子を播いたのが始まりとされる。嬉野を中心とする産地で、6割以上が玉緑茶で、そのほとんどが蒸し製。

・長崎県(彼杵茶) 東彼杵を中心とし、蒸し製玉緑茶が全体の8割を占める。

・熊本県(熊本茶) 産地は九州山脈の深山渓谷から球磨盆地につながる地城。煎茶、玉緑茶が生産量を2分する。

・宮崎県(宮崎茶) 北西部山間地ではかま妙り製玉緑茶が、霧島盆地では特有な気象を生かした良質茶を生産。また、平坦地では大型機械化栽培も進められている。

・鹿児島県(鹿児島茶) 静岡県に次いで第2位の生産高を誇る。北は霧島山麓の牧園周辺から大隅半島、薩摩半島と全県的に生産されるが、知覧、頴娃を中心とする平坦茶園では大型機械化栽培が進められている。